水路

生活、まれに音楽

通学路に陽炎

チャーハンから上る湯気を見ている。ため息1つ。なんとも落ち着かない。


町内放送「██地区にお住まいの███さんが、今日の午前10時頃家を出たきり行方不明になっています。
(視界にモヤ)
身長は170センチ、体格は普通。服装は紺のジャケットにベージュの長ズボン。見かけた方は市役所までご連絡ください」
(擦れる音)
「繰り返します」
手元が熱い。パーカーのポケットから落ちたライターを拾う人、の横を通り過ぎる車。DVDは借りたまま机に平積み。思考が千切れて不意に静寂。パチンコ玉の転がる路地裏、毛繕いする猫を子供が指差し「ニャーニャー」と言う、それを見て母親は微笑む。


「お寿司はシャリでお腹いっぱいになるのが嫌だからネタだけ注文できるようになってほしい」
「それだとお寿司じゃなくてお刺身になっちゃうでしょ」
(笑い声)

年がら年中イヤホンをつけているから、耳を塞ごうにも痛くてかなわない。気持ち次第でJPOPだってノイズミュージックになる(恐らくこのとき噛んでるガムの味を忘れた)。
来週は暇だ。つまり忙しい。

ホリデーなんて洒落た名前ね、そんな喫茶店どこにもないけれど。