水路

生活、まれに音楽

都内某所

「███のユニットとしての性質は、名前が示すとおり、若さに依るものが大きいと思うんだけどさ、その若さって青春とかまだ未熟さからくる元気、純真無垢を内混ぜにしたものでしょ。実際、小学〜高校生の頃なんて毎日楽しければオッケーくらいのノリで過ごしてたじゃない?大半の人は受験を経て大学に入り、ようやく将来について考え始めるわけで。

だから彼女は、███で一番 "時間" や "今しかできないこと" に意識的なんじゃないかって思うんだよね。他のメンバーはまだ子供かってくらい若い。でも、彼女は置かれた立場……大財閥の令嬢、大学生、ユニット内最高齢とかその他諸々を考えると、夢を見ていられる時間がもう少しで終わる。
そんな中、アイドルを通して彼女がどう変わっていくのかすごく気になってて、」
「あ、えーっと、柔らかたまごのペペロンチーノと、季節の野菜パスタで。ドリンクはアイスコーヒーを2つお願いします」
「ねぇ私の話聞いてた?」



電車を降りて改札を通る。長い地下道を抜け階段を上ると、地上に出た。暑い。日本の夏は人が外を歩くには暑すぎる。
昼食を買うためコンビニへ。店に入ると、素早く惣菜を掴んで列に並ぶ。昼時、しかも正午を回ったばかりということもあって混んでいた。
「WAO!WAO!」
汗ばんだシャツが冷たい。冷房の風が容赦なく体温を奪っていく。奥のレジで客らしき老人と店員が揉めていた。会計を済ませ店を出る。寒さから逃れたと思いきや、外は暑い。もう無茶苦茶だ。歩道橋を渡り建物に入る。エレベーターホールの埃臭さにホッと一息。

Nosaj Thing - Light#1

Nosaj Thing - Light#1



Nosaj Thing(ノサッジ・シング)ことJason Chungは、アメリカ・ロサンゼルスを拠点とするプロデューサー。1985年1月27日生まれで、現在35歳です。ヒップホップ/IDM/ダウンテンポを混ぜ合わせたような音楽性が特徴。ソロ作品の他に、Kendrick Lamarへの楽曲提供("Cloud 10")や、Chance The Rapperとのコラボレーション("Paranoia")など、色々手広くやっているようです。
"Light#1"は彼の1stアルバム"Drift"に収録されています。


全体的にメロディの綺麗な曲ですが、とりわけ中盤のビートが消えるところが美しいです。よく聴いてみるとメロディの動き方を少しずつ変えてるんですよね。芸が細かい。あと鐘の音が曲の大半で鳴ってるんですけど、逆再生を上手いこと使ったりしてて流石だなと。
彼は、リリースを重ねるごとにより静謐な作風へシフトしていくのですが、この"Drift"は1stアルバムということもあって、荒削りで勢いがあります。


余談ですが、自主で出した"Views/Octopus EP"に収録の"Aquarium"は、ラッパーのKid Cudiにサンプリングされ"Man On The Moon"のトラックとして使われています。

Nosaj Thing - Aquarium

Kid Cudi - Man On The Moon

Boards of Canada - Roygbiv

Boards of Canada - Roygbiv



今さら書かなくても……というくらい有名な人たちですが一応プロフィールを。
Boards of CanadaはMarcus EoinとMichael Sandisonからなる2人組ユニット。スコットランドエジンバラ出身で、1980年代後半から活動しています。
この"Roygbiv"は1stアルバム"Music Has The Right To Children"に収録されており、重いビート、メロディアスでフワフワしたシンセ、ボイスサンプリングといった彼らの特徴が詰め込まれた曲です。
タイトルの由来は虹を構成する7色。Red (赤)、Orange (橙)、Yellow (黄)、Green (緑)、Blue (青)、Indigo (藍)、Violet (紫)の頭文字を順に並べたものになっています。

Boards of Canadaは、(ボイスサンプリングはあるにせよ)歌詞がなく直線的な曲が多いので、作業中や疲れたときによく聴いています。
今になって考えてみれば、彼らをきっかけにIDMエレクトロニカにハマった気がします。

オススメを以下に列挙しました。機会があれば是非。

"Aquarius"

"In A Beautiful Place Out In The Country"

"Music Is Math"

"1969"

"Chromakey Dreamcoat"

余談ですが、彼らの未発表曲をMachinedrumがライブ音源をもとに作り直したエディットがあり、こちらも素晴らしいです。


眠れないまま朝が来る

まるでブレーキのない車に乗っているような日々。全速力でカーブへ突入し、車体を壁に擦り付けながら無理やり曲がる。火花が散る。サイドミラーはとうの昔に折れて行方不明。
傷つけたくないならアクセルを踏まなければいい、しかし止まったままでは後続車の邪魔になる。追突されるかもしれない。もしそうなったら後部座席で練炭を焚くほかなくなる。
とりあえずガソリンが切れるまでアクセルを踏み続ける。進むしか道はないので。


以下は、お酒を飲んで泥酔した際に記した文章です。読み返したら面白かったので載せておきます。素面では書けないメチャクチャ具合ですね。ちなみに書いたときの記憶はありません。


あ、頭に、重心があり、いま平衡感覚が 他のアレ、なんだ、アレだよ、喘鳴?そう、灼熱が脳を覆ってアハハ、ウケるねピンミーダウン

聞、こえない、らららメープルシロップ いい話をしてくれ、誰も笑わない話を 甘いな、夢と見紛うほどに 微かに動く判別区別強烈滅裂 空も飛べるさ今なら、今しか、今だけ、白煙吹いて上空旋回、空気が薄いここは空気が、薄い 減圧症の鯨、潮は妄言 噴いていけよ好きなだけ ららら、ららら メロディ響いて雲海晴れた



When We Were Younger And Better

犬が死ぬ夢、市外の焼却場、シャッターを下ろした商店街、掠れた落書き、電線の烏、上京して標準語を話すようになった友人、口にすべきでなかった言葉たち、紙に空欄が3つ、4つ


思い出や記憶は霧の向こうへ行ってしまい、今では揺れる輪郭を目でなぞるばかり。代わり映えしない日々の中、大事なものから順に失くしていく。
拳を握ったら爪が食い込んで、指の隙間から血が滴り落ちた。鉄臭さを覚えているうちはまだ大丈夫。いずれ何も感じなくなる、それまでの辛抱。

後日談

ブラックサンダーKinKi Kidsとコラボしてブルーサンダーになる夢を見た。
今日は何味だったっけ。おそらくキャラメルポップコーン。またはチーズ風味のお菓子。


1つの地獄が終わった。自らの怠惰により若干伸びたが、なんとか泳ぎきって浜辺に転がる。太陽が眩しい。波の音が聞こえる。しばらくしたらまた海に飛び込まなきゃいけないけど、今はゆっくり休みたい。


壁も床もない空間、円柱が等間隔に浮いている。水色の表面は滑らかで冷たい。不意にサイレンが鳴り響き、遥か上のほうから無数のボールが降り注ぐ。お互いに、そして円柱にぶつかりながら途切れることなく落下していくボールたち。1つ残らず円柱の群れを通り抜け、やがてサイレンは止まった。

昨日、君を見た

ここ1ヶ月くらい味を感じない。香りに体が慣れてしまったのだろうか。チーズケーキ、クッキー、ポップコーン……みんな霧の向こうへ消えた。



教室のドアを開けると、すでに沢山の生徒がいた。空いている席に座る。今日は高校入学初日。もういくつかグループができていて、談笑したりスマホで動画を見たりしている。
「この後どこか行こうよ」
ラウンドワンとかどう?」
慣れない環境が苦手だ。緊張のせいか昨日はよく眠れなかった。時計を見る。8時20分。ホームルームまであと10分、この騒がしさに耐えなければならない。


昼寝をしたら、SNSで「4万L一(ヨンマンエルイチ)」とリプライを送られる夢を見た。
一昨日の夜は、Kyar Kalish(カイル・カリッシュ)という人物が夢に出てきた。おそらくヒスパニック系で、ガッチリとした体型の男性。現実世界に彼はおらず、似たような知人も見当たらない。